こんにちは!ふくまるです🐕
投資するなら、配当金💰という視点に加えて、意味ある投資をしたい!という思いから、もともと気候変動の問題を通じて関心があったエネルギー銘柄への投資を検討していました。
エネルギーの現状・今後の展望・課題について調べた内容と、問題解決に取り組むエネルギー銘柄を簡単にご紹介いたします。
この記事は、
- エネルギー銘柄に投資してみたいけど、エネルギーについての知識がない
- エネルギー問題を知りたい
- どんなエネルギー銘柄があるのか知りたい
エネルギー銘柄への投資を検討している方にとって、一助になれば幸いです!
この記事をまとめると
- 火力発電によるCO2排出が、環境問題を引き起こしている
- 日本はCO2排出が多い火力発電に消費電力の80%以上を依存している
- 火力発電から再生可能エネルギー中心に転換を推進している
- 消費電力を削減するため省エネを推進している
- 問題解決に取り組むエネルギー銘柄の紹介
と、なっていますので、最後までご覧いただけますと幸いです!
エネルギーとは?
なんとなく、エネルギーという言葉を使っていますが、科学の世界では、「ものを動かす能力」のことをエネルギーと言います。
エネルギーには種類があり、電気エネルギー、熱エネルギー、光エネルギー、運動エネルギーなどがあります。
さまざまなエネルギーの供給源
人の暮らしに、なくてはならないエネルギーですが、それを作り出す資源は、使うとなくなる「枯渇性資源」と使ってもなくならない「再生可能エネルギー」の大きく2つのグループに分けられます。
- 使うとなくなる「枯渇性資源」
- 石炭
- 石油
- 天然ガス
- シェールガス
- メタンハイドレート
- オイルサンド
- 原子力など
- 使ってもなくならない「再生可能エネルギー」
- 太陽エネルギー
- 水力
- 風力
- 潮汐力(ちょうせきりょく)
- 波力
- 地熱
- バイオ燃料など
化石燃料
化石燃料とは、石炭、石油、天然ガスのような深い地中に埋まっている燃料のことです。
大昔の植物や動物が、地面の下で長い時間をかけて押しつぶされてできたもので、燃えやすいのが特徴です。
石炭は植物、石油はプランクトン、天然ガスは動植物がもとになっています。
石炭
石炭は火力発電、鉄鋼、セメント生産や紙パルプ産業の燃料です。主要な輸入元は、オーストラリア・インドネシア・ロシア・カナダ。
最も低コストの燃料で単位エネルギーあたりのCO2排出量や大気汚染物質の排出が多いという問題があります。
石油
炭化水素を主成分とした液状の油で、火をつけると激しく燃える良質な燃料資源です。
ガソリン、軽油、灯油、重油など蒸発温度の違いによって、分離・精製され、液体のため、輸送や取り扱いが容易なのが特徴で、用途は、輸送用・暖房用・産業用が主となっています。火力発電に使用される割合は少ないです。
輸入元は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、イラン、クェートなど、中東からの輸入割合が2019年度は89.6%となっています。
※出典:資源エネルギー庁(化石エネルギーの動向)
天然ガス
可燃性の炭化水素ガスのことで、石油がつくられる過程で分離したガスが地中に移動し、気体を通しやすい岩石の層にたまったものです。
火力発電と都市ガスとして、産業・民生用に使用され、都市ガスは、コージェネレーションや空調用、産業用の熱源として利用されています。
輸入元は、オーストラリア、マレーシア、カタール、ロシアから輸入。
天然ガスは、燃焼に伴う大気汚染物質の発生が少なく、また、CO2排出量も石炭の半分、石油の4分の3ですが、天然ガスを輸入するために天然ガスを液化し、LNG(液化天然ガス:Liquefied Natural Gas)にする設備やタンカーや輸入したLNGを保存するには冷凍する設備が必要となるデメリットもあります。
近年は、シェールオイル・シェールガスの開発が進展しており、大きな資源量が見込まれています。特に、米国における増産は顕著であり、2018年には、世界最大の産油国・産ガス国となりました。
種類 | 石炭 | 石油 | 天然ガス |
---|---|---|---|
メリット | 最も低コストの燃料 | 液体のため、輸送や取り扱いが容易 | 燃焼に伴う大気汚染物質の発生が少なく、また、CO2排出量も石炭の半分、石油の4分の3 |
デメリット | 単位エネルギーあたりのCO2排出量や大気汚染物質の排出が多い | 燃料価格は石炭や天然ガスと比べて割高 | 輸送コスト、貯蔵コストがかかる |
輸入元 | オーストラリア・インドネシア・ロシア・カナダ | サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、イラン、クェートなどの中東 | オーストラリア、マレーシア、カタール、ロシア |
エネルギー資源がなくなる?
化石燃料は、近い将来になくなってしまうと予想されています。
エネルギー資源の寿命
- 石油:50年
- 天然ガス:50年
- ウラン:115年
- 石炭:132年
日本人1人あたりの電気消費量は世界平均の2倍以上ですが、その電気を生み出す資源の90%近くを輸入に頼っています。日本人は世界の資源を過剰に使う国民といえます。
原子力発電
核分裂時に発生する熱で水から高圧蒸気をつくり、原子力エネルギーをつくる技術です。
核分裂に欠かせない天然ウランが有限の資源のため、枯渇性資源のひとつとして分類されます。
日本では石油危機以来、安定供給・経済性に加えて、発電時にCO2を排出しないエネルギー供給源として、原子力発電を増大してきました。
発生する使用済み核燃料、再処理、放射性廃棄物の処理・処分が課題として残されています。
再生可能エネルギー
水力、地熱、太陽光、太陽熱、風力、バイオマスなどの自然のエネルギーの流れを利用する技術です。
発電時にCO2をほとんど排出しないという特徴があり、自然の力を利用することで、ほぼ永久に使い続けることができます。
再生可能エネルギーの長所
- 枯渇しない
- 多くを国内で供給できる
- 発電時にCO2を増加させない
- 分散型エネルギーシステムに適している
再生可能エネルギーの短所
- コストが高い
- 技術開発がこれからのものも多い
- 気象条件で出力が変動する
- 広い面積が必要になる
太陽光発電
太陽から降りそそぐ光を太陽光パネルに当てることで、電気が発生する仕組みを利用します。太陽光発電は日照に依存するため、気象条件、時間帯、季節によって発電量が変動します。
風力発電
風の力で風車を回し、生まれたエネルギーによって発電機を動かし電気をつくります。
日本では風況に恵まれた北海道、東北、九州を中心に大規模なウインドファームは偏在しており、電力大消費地への送電が課題です。また、洋上風力発電は、日本において導入ポテンシャルが非常に大きく、技術開発が待たれます。
バイオマスエネルギー
バイオエネルギーとは、もみ殻・家畜の糞などの廃棄物や家庭の生ごみなどをエネルギー源として発電する仕組みのことです。
化石資源を除く動植物に由来する有機物で、エネルギー源として利用可能なものを指します。カーボン・ニュートラルの考え方から、CO2を排出しないものと扱われています。
廃棄物を燃料とするバイオマス発電は、廃棄物の再利用や現象につながり、循環型社会構築に寄与します。しかし、資源が広い地域に分散しているため、高コストな収集・運搬・管理が課題です。
水力発電
水を高いところから落下させることで生まれるエネルギーによって、水車を回して電気をつくる仕組みです。
大規模水力発電は、日本においては開発し尽されており、今後は中小水力発電の開発や活用が必要です。また、揚水発電は需要の低い夜間などに揚水した水を使って必要時に発電することができ、蓄電設備として利用できます。
地熱発電
地熱発電は、主に火山活動などによって発生する高温の熱水による蒸気でタービンを回して電気をつくる仕組みです。
地下の地熱エネルギーを使うため枯渇する心配がなく、常時蒸気を噴出させるため、発電も連続して行われます。しかし、開発期間が長いことや、立地地区が国立公園や温泉地域と重なることが多いため、行政や地元関係者との調整が必要なことなどが課題です。
タービンを回すほど温度の高くない温泉水を利用したバイナリー発電の導入が始まり、地産地消のエネルギー源として期待されています。
世界には電気が使えない人たちもいる
世界の人口は約78億いますが、電気が使えない生活をしている人が世界には7.9億人います。また、料理をしたり、暖を取ったりするために、薪や炭、家畜のフンなど(非化石燃料)を燃やしている人は28億人もいます。世界の人口の約36%の人が非化石燃料を使用して、約10%の人が電気を使えないのが現状となっています。
エネルギー利用による環境への影響
人とエネルギーの歴史は、18世紀半ばの産業革命によって化石燃料である石炭の利用が増加し、さらに19世紀から20世紀にかけての工業化段階で、石油の時代に入ります。
その後、天然ガスや原子力の活用が開始されました。
現在の文明社会は、このようなエネルギーなしでは成立していないと言っても過言ではありません。
- 自然環境への影響
- 地球温暖化への影響
- 大気への影響
- 原子力の利用による環境への影響
- 発電に伴うその他の環境影響
エネルギーを安定供給することは、経済・文明社会の成長に必要不可欠である一方、エネルギー供給・利用段階で、さまざまな環境問題が生じています。
自然環境への影響
一次エネルギーを採取する段階では、大規模なエネルギー開発、水力発電のための大規模ダム開発、地熱発電の開発、送電線やパイプラインの建設などによる自然生態系や景観への影響が懸念されています。
ナイジェリアでは、原油採掘に伴い、河川の環境汚染が広がり、住民の健康被害につながったケースがあります。
また、シェールオイル・ガスの発掘では、化学物質を含む大量の水を地下に送り込むため、水質汚染の懸念が指摘されています。
一次エネルギーの輸送では、原油タンカーの事故により原油が海洋に広範囲に流出して海洋汚染を引き起こすこともあります。
アラスカで起きたエクソン・バルディーズ号原油流出事故や島根県沖で起きたナホトカ号原油流出事故、メキシコ湾原油流出事故では、深刻な被害が出ました。
二次エネルギーの輸送段階では、タンクや輸送プロセスからベンゼンなどの化学物質が排出される例が散見されます。使用段階でも自動車排気ガスからは微量化学物質の排出があります。
地球温暖化への影響
現在、人間活動に必要なエネルギーの約85%は化石燃料から得ています。
化石燃料の長所としては、輸送や貯蔵が容易なことや、受容量当たりのエネルギー密度の高さが挙げられます。
しかし、化石燃料が燃焼するとCO2が排出されます。
地球温暖化の主原因が18世紀半ばの産業革命以来の大量の化石エネルギー消費であることや資源が有限であることを考えると、化石燃料に代わるエネルギーを確保していくことが必要です。
また、利用の際には、化石燃料の節約やCO2の排出をできるだけ抑えていく必要があります。
天然ガスは他の化石燃料に比べてCO2の排出が少ない点が長所ですが、インフラを整備する必要があります。また、石炭も従来に比べてCO2や硫黄酸化物などの発生を抑え、よりクリーンなエネルギーとする石炭ガス化複合発電(IGCC)が実用化されています。
さらに、発電所や工場から出るCO2そのものを回収し、地中深くに閉じ込めるCO2回収・貯蓄(CCS)などの技術開発も進められています。
石炭ガス化複合発電
(IGCC:Integrated coal Gasification Combined Cycle)
石炭をガス化、燃焼させてガスタービンを回し、その排ガスをボイラで使用して蒸気タービンを回す発電システムです。発電効率が50%程度と従来型の約42%に対して高く、大気汚染物質の排出量が低減できる、種々の品位の石炭を使用できるなどの利点がある。
大気への影響
火力発電所では石炭、石油、天然ガスの燃焼によって大気汚染の原因となる硫黄酸化物、窒素酸化物、粒子状物質、揮発性有機化合物、各種化学物質などが放出され、ぜんそくなどの健康被害を引き起こすおそれがあります。
排出された窒素酸化物や炭化水素類が強い日差しの下で反応して、光化学スモッグの原因になることもあります。
原子力の利用による環境への影響
福島第一原子力発電所事故では、広域に放射性物質が拡散し、近隣への立ち入り禁止、農作物や水産品の出荷制限など、環境のみならず、社会的、経済的に甚大な影響がありました。
これらの事故や、その広域かつ長期に渡る影響について、どのように防止・対応するかを検討する必要があります。
また、発電を終えた使用済み燃料の再処理に伴って発生する高レベル放射性廃棄物の課題が残っています。
高レベル放射性廃棄物は、300mより深い地中に埋没処分(地層処分)することになっています。現在、原子力発電環境整備機構(NUMO)が処分事業を進めようとしていますが、事業を受け入れる自治体がおらず、処分地選定は進んでいません。
発電に伴う、その他環境への影響
火力発電、原子力発電、バイオマス発電では、発電過程で排熱されます。大規模の発電所になると多くの場合、その熱は温水として海などの環境に排出されます。この温排水は、周辺の海水温を上昇させて、生態系への影響を懸念されます。
太陽光発電では、設置に際して、森林の伐採等を伴うことによる環境影響が起こり得ます。また、景観上の問題が起こったり、太陽光パネルに当たった光が反射して、付近の住宅に影響を及ぼしたりする例があります。
また、風力発電では、ブレードやタービン部による低周波空気振動、回転する羽根によって起こる光の明滅(シャドーフリッカー)によって、近隣住民の健康に影響が出る場合もあります。鉄塔や回転するブレードに鳥が衝突する、バードストライクと呼ばれる事故も発生しています。
さらに、いずれ各種発電設備が廃止されることに伴う環境負荷についても、今から考えておく必要があります。原子炉施設の廃炉作業は、複数の発電所で作業が進められているところであり、コンクリートや鉄鋼廃材のリサイクル等が進められています。
以上のように、発電については、さまざまな環境影響が考えられますが、これらを事前にライフサイクルベースで予測し、環境保全上より望ましいものにしていく環境アセスメントが重要です。
その他環境への影響
大都市では、道路やビルからの輻射熱(ふくしゃねつ)や空調・車の排気熱などがヒートアイランド現象の原因のひとつとなっていますが、これも環境への影響と言えるでしょう。
ヒートアイランド現象
ヒートアイランド現象は、都市部の熱汚染現象です。都市の中心部の気温を等温線で表すと、島のように見えるため、このように呼ばれています。ヒートアイランド現象は、年間を通じて生じていますが、特に夏季の気温上昇が問題となっています。東京周辺では近年、都市化の影響により1.5℃~2℃を超える気温上昇が起きていると気象庁が示しています。
ヒートアイランド現象の主な原因としては、人工排熱の増加(建物や工場、自動車などの排熱)、地表面被覆の人工化(緑地の減少とアスファルトやコンクリート面などの拡大)、都市形態の高密度化(密集した建物による風通しの阻害や天空率の低下)の3つが挙げられます。
利用段階 | 具体的な例 | 環境への影響例 |
---|---|---|
一次エネルギーの採取 | 石油・石炭・天然ガス ウラン鉱掘削・シェールガス | 自然生態系の破壊 露天堀り、大規模ダム |
一次エネルギーの輸送 | タンカー、タンクローリー トラック | 大気汚染、CO2排出 輸送中の事故による海洋汚染 |
エネルギーの転換 | 火力・原子力発電 石油精製、コークス生産 | 大気汚染、熱汚染 放射性物質放出、CO2排出 |
二次エネルギーの輸送 | 送電、配電、タンクローリー 都市ガス配管 | ガス漏洩、輸送中の事故 |
二次エネルギーの消費 | 電気製品、ガソリン自動車 都市ガス暖房 | 大気汚染、熱汚染、CO2排出 |
処分・廃棄 | 低温熱として拡散 専用施設で保管 | ヒートアイランド 放射性物質の拡散 |
エネルギーの動向
世界のエネルギー需要と供給
世界のエネルギー消費量は、人口増加と経済成長と共に増加し続けています。特にアジアは2000年代以降、新興国が牽引して、エネルギー消費量が大きく増加しています。
一方、先進国(OECD諸国)では、経済成長率、人口増加率ともに停滞していることや、産業構造の変化や省エネルギーの進展の影響により、エネルギー消費量の伸び率が鈍化しました。
1960年代から現在まで、エネルギー消費の中心となっているのは石油です。
発電用の消費は他のエネルギー源への転換も進みましたが、輸送用燃料としての消費は、いまだ他のエネルギー源への転換ができていません。そのため、石油の消費は増加し続けており、現在、エネルギー消費全体におけるシェアは3割を超えています。
第2位のシェアを占めるのは、石炭です。
石炭の消費量は、エネルギー消費全体の3割弱を占めます。特に2000年代においては、安価な発電用燃料を求める中国を始めとするアジアを中心に、消費量が拡大しました。しかし、近年では、中国の需要鈍化、米国における天然ガス代替による需要減少により、石炭消費量が減少し始めました。
第3位のシェアを占めるのは、天然ガスです。
消費量の伸び率は、石油や石炭を凌ぎ、気候変動への対応が強く求められる先進国で、発電用、都市ガス用の消費量が増加しました。
原子力は1970年代後半から、太陽光・風力を中心とした水力以外の再生可能エネルギーは2000年代後半から、急速に開発・普及が進んでいますが、エネルギー消費全体に占める比率はまだ大きくありません。近年は、太陽光発電や風力発電コストが低下しており、今後、再生可能エネルギーのシェアは拡大すると予想されています。
日本のエネルギー政策の経緯
第二次大戦後の日本は、石炭と水力の国産エネルギー資源により経済復興を遂げました。高度経済成長期には、急速な石油への転換が進み、1970年代に2度の石油危機が起きると、原油価格は一気に4倍に跳ね上がりました。
資源の9割以上を海外に頼る日本はエネルギー政策の転換に迫られ、省エネ法(1979年)の制定など省エネルギー政策を推進するとともに、過度な石油依存からの脱却が不可欠となりました。
原子力、液化天然ガス(LNG)、石炭、新エネルギー(太陽光など)の導入が進み、経済効率性の向上(Economic efficiency)と安定供給の確保(Energy security)が重視されるようになりました。
1990年代以降、地球温暖化防止への対応から環境適合性(Environment)を満たす必要性が生じ、エネルギー政策は、3E(経済効率性、安定供給の確保、環境適合性)を政策の柱として進められるようになりました。
2002年、エネルギー需給に関する政策を長期的・総合的に推進することを目的として、エネルギー政策基本法が成立し、国はエネルギー基本計画を策定することとなりました。
2010年に策定された「第一次エネルギー基本計画」は、3E(経済効率性、安定供給の確保、環境適合性)を重視し、2030年までに原子力の比率を約5割にすること、14基以上を新設することなど、とりわけ原子力を電力供給の基幹に据えた政策を進めてきました。
しかし、2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所事故によって、深刻な被害と原発の安全性に対する懸念が広まると、安全性(Safety)も加えた3E+Sの実現が基本課題となりました。
政府は、2011年6月に「エネルギー・環境会議」を設置し、将来のエネルギーの選択肢について国民議論を行い、2012年に「革新的エネルギー・環境戦略」を決定しました。
政権交代の後、2014年には、第4次エネルギー基本計画が閣議決定されました。同計画を受け、総合資源エネルギー調査会のもとに長期エネルギー需給見通し小委員会が設置され、2030年までの需給見通しが2015年7月に公表されました。
そして、2015年12月にパリ協定が採択されると、全世界で脱炭素を加速する機運が高まりました。
これを受け、日本でも2016年5月に地球温暖化政策計画を策定しました。
主要国の一次エネルギー自給率比較(2019年)
※エネルギー自給率:国民生活や経済活動に必要な一次エネルギーのうち、自国内で産出・確保できる比率
日本は、その多くを海外からの輸入に依存しています。日本のエネルギー自給率は、諸外国と比較しても大変低い水準となっています。
日本のエネルギー自給率推移
出典:日本のエネルギー 2021年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」(資源エネルギー庁)
日本の一次エネルギー自給率は、2010年には20%となっておりましたが、2011年3月の福島第一原子力発電所事故を受け、全国の原子力発電所が停止したため、2014年には、エネルギー自給率が6.3%と最低値になりました。
その後、太陽光発電を中心とする再生可能エネルギーの導入や原子力発電所の再稼働によって、2019年には12.1%となっています。
日本の一次エネルギー供給構成の推移
出典:日本のエネルギー 2021年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」(資源エネルギー庁)
海外から輸入される石油・石炭・天然ガスなど
化石燃料に大きく依存しています💦
日本のエネルギー政策(未来)
2018年7月に、第5次エネルギー基本計画が閣議決定されました。
同計画でエネルギー需給を構築する根本は、「S+3E」の実現です。なかでも、パリ協定採択後の世界情勢を受け、「エネルギー政策を考える上での情勢変化」の第1項目に「脱炭素化に向けた技術間競争の始まり」を掲げるなど、環境適合性の視点が強く表現されています。
2030年度におけるエネルギー需給の見通し
出典:日本のエネルギー 2021年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」(資源エネルギー庁)
- CO2発生の少ないエネルギーに変える
- 省エネにより、エネルギー消費量を削減する
という、方針となっています。
CO2発生の少ないエネルギーに変える
化石燃料
石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料はCO2排出を伴うため、長期的にはその中でもCO2排出量の少ない天然ガスへのシフトや、脱炭素に向けての技術開発を行うものの、2030年に向けては主力エネルギー源としての利用はやむ得ない状況となっています。
ただし、効率的な火力発電を有効利用するなど、できる限り低炭素に向けての取り組みを行うこととされています。
原子力
原子力エネルギーは、数年にわたって国内保有燃料だけで維持できる低炭素の純国産エネルギーと位置づけられてきました。
利用に際しては、安全性をすべてに優先して国民の懸念の解消を前提とするとともに、再生可能エネルギー・省エネルギーの導入、火力発電所の効率化などによって原発依存度をできる限り低減し、その上で2030年の電源構成比率20~22%の実現を目指すとされています。
再生可能エネルギー
再生可能エネルギーは、石油危機以来、新エネルギー法などによって普及や技術開発が図られてきましたが、初期投資費用が高く、導入がなかなか進みませんでした。
そこで2002年にRPS制度(※1)、2009年に余剰電力買取制度(※2)が導入され、さらに2012年にはこれらの2つの制度に代わり、再生可能エネルギー特別措置法に基づき、固定価格買取制度(※3)(FIT、フィードインタリフ制度)が導入されました。
これにより、投資費用を回収し、利益を生み出せることから整備導入が急速に促進しました。
(※1)RPS制度(Renewable Portfolio Standard)
電力会社に一定割合の再生可能エネルギーの導入を義務づける制度。
(※2)余剰電力買取制度
家庭などの太陽光発電で使いきれなかった電力(余剰電力)を一定の価格で買い取ることを電気業者に義務づける制度。2009年~2012年まで実施。
(※3)固定価格買取制度(FIT、フィードインタリフ制度)
再生可能エネルギー源を用いた発電された電力を国が定める期間・価格で電力会社が買い取ることを義務づけた制度。買い取りに必要な費用は、再生可能賦課金として電気料金に上積みして、各家庭や需要家が電気使用量に応じて負担する。
一方で、高額な買取価格による、再生可能エネルギー賦課金(再エネ賦課金)の増大が問題となっており、2017年から買取価格が入札制度へと移行しましたが、これが機能するための検討も継続的に行う必要があります。
再生可能エネルギーの導入は、地域の活性化にも役立つことが期待されますが、送配電網や蓄電などのインフラ整備と併せて推進することが重要です。
省エネにより、エネルギー消費量を削減する
日本では、省エネルギーを進めるため、省エネ法による規制措置と、省エネ診断や技術開発、設備補助金等の支援措置を行っています。
産業、業務、運輸の各部門のエネルギー使用量の多い事業者に対して、毎年度、省エネルギー対策の取り組み状況やエネルギー消費効率の改善状況の報告義務を課しています。
対象機器は、32品目で家庭のエネルギーの約7割を消費する機器が対象となっており、中長期的に目指すべきエネルギー消費効率の水準を設定する「産業トップランナー制度」によって、製造業の6業種10分野でベンチマークが設定されている。
2014年からは、需要サイドの電力需要の平準化についても措置されることになりました。
また、2015年には建築物省エネ法により、大規模建築物の省エネ適合義務や、省エネ表示義務が段階的に適用されることになりました。
日本の省エネの状況
※出典:日本の省エネルギー政策について(資源エネルギー庁)
日本のエネルギー消費効率は、世界でも最高水準となっています。
省エネルギーについては、産業・業務・家庭・運輸の各部門で、さらなる徹底に努め、エネルギー供給を効率化するディマンドレスポンス(消費者に節電や消費を促し、消費電力を変化させること)を活用しています。
省エネ技術
ヒートポンプ
ヒートポンプは、気体を圧縮すると温度が上昇し、膨張させると温度が下がる原理を利用して空気の熱を汲み上げ、利用するシステムです。
現在の技術では、消費電力の約3倍以上の熱エネルギーを生み出すことができると言われており、エアコンや冷蔵庫など身近な家電製品に活用されています。
燃料電池
都市ガスなどから得られた水素を、空気中の酸素と電気化学反応させて発電します。
発生する熱も温水として利用できるコージェネレーションであり、エネルギー効率の高いシステムです。現在、自動車・産業用・家庭用で技術開発が進んでおり、携帯電話やパソコンなど、モバイル機器の電源としても注目されています。家庭向け燃料電池の普及も始まっています。
インバーター
インバーターとは、交流電気を一旦直流にし、さらに周波数の異なる交流に変える装置で、多くの家電製品に使用されています。
周波数を変えることでモーターの回転数を制御し、エアコン、冷蔵庫の温度設定などをきめ細かく制御して消費電力を抑える技術です。
複層ガラス、断熱サッシ
一般の住宅では窓などの開口部から、大きな熱の出入りがあります。このため、窓を複層ガラスや断熱サッシにすることによって、断熱性能を大幅に改善することができ、省エネルギー化になります。
LED(発光ダイオード)
LEDは、蛍光ランプに比べて消費電力が約4分3、寿命が4~7倍といわれ、近年低価格化が進んだため、家庭内の照明、街路灯、信号機などに普及してきています。
システムとしての省エネルギー対策
各エネルギーを進めるためには、個別技術の導入に加えて、複数の事業者や地域が連携するシステムとしての対応が必要です。
また、エネルギーの使用実態を把握し、それに適した供給を行うために、AIやIoT、ビックデータ等の活用も重要になります。
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)
ZEHは、外壁の断熱性能の向上や、効率的な設備システムの導入などにより、大幅な省エネルギーを実現し、かつ、再生可能エネルギーを導入することにより、年間のエネルギー消費量収支ゼロを目指した住宅のことを言います。
第5次エネルギー基本計画では、2030年までに新築住宅の平均で、ZEHの実現を目指すとしています。
コージェネレーション
コージェネレーションは、発電を行い、発生する排熱で温水や蒸気をつくり、建物や地域の給湯や冷暖房などに使用するシステムです。
冷却水や排ガスなどの排熱を有効に利用できるため、エネルギー効率は75%~80%と優れています。地域冷暖房のインフラを整えれば、地域全体としての省エネルギー化を図れます。
スマートグリッド、スマートコミュニティ
電力のスマートメーターなどの通信・制御機能を活用して、送電調整のほか時間帯別など多様な電力契約などを可能にする電力網がスマートグリッドです。
エネルギー需給の管理を行うことができるため、電力を効率よく利用することができます。また、地域で導入できれば、スマートコミュニティとして、エネルギー供給の効率化、大幅な省エネルギー、非常時のエネルギー確保が可能となります。
ESCO(Energy Service Company)事業
ESCO事業は、省エネルギー改修にかかるすべての経費を、省エネルギーによる光熱水費の削減分で賄う事業です。2017年の市場規模は249億円にのぼりました。
エネルギー銘柄
火力発電から再生可能エネルギーに転換が必要とされる中で事業を推進している銘柄をご紹介します!
太陽光発電
- SGエネジー(ソフトバンクグループの子会社)
- NTTファシリティーズ(NTTの子会社)
- HIS(9603)
- 出光興産(5019)
- オリックス(8591)
- 京セラ(6971)
- ウエストHD(1407)
- サニックス(4651)
- ダイキアクシス(4245)
- ジー・スリーHD(3647)
風力発電
- コスモエネルギーHD(5021)
- J-POWER 電源開発株式会社(9513)
- 日立造船(7004)
- ユーラスエナジーHD(豊田通商の子会社)
- 日本風力開発
- サミットウインドパワー(住友商事系)
バイオマス発電
- イーレックス(9517)
- テスHD(5074)
- レノバ(9519)
- エフォン(3864)
地熱発電
- 新日本科学(2395)
- 日鉄鋼業(1515)
- 三井金属(5706)
- 三菱マテリアル(5711)
- 三菱ガス化学(4182)
- JFE HD(5411)
- 石油資源開発(1662)
- 大林組(1802)
- 九州電力(9508)
- 東北電力(9506)
- 北海道電力(9509)
- 東芝(6502)
水力発電
- 東京電力HD(9501)
- 関西電力(9503)
- 中部電力(9502)
- 九州電力(9508)
まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
この記事をまとめると
- 火力発電によるCO2排出が、環境問題を引き起こしている
- 日本はCO2排出が多い火力発電に消費電力の80%以上を依存している
- 火力発電から再生可能エネルギー中心に転換を推進している
- 消費電力を削減するため省エネを推進している
- 問題解決に取り組むエネルギー銘柄の紹介
でした!
いかがでしたでしょうか?
記事を読む前と比べて、エネルギーについて理解が深まっていれば、幸いです!
引き続き本ブログをよろしくお願いいたします!
参考文献
資源エネルギー庁:WEBサイト
見て、知る、サステナブル はじめての脱炭素
ドラえもん科学ワールド ーエネルギーの不思議
改訂8版 環境社会検定試験eco検定公式テキスト
図解! 業界地図2022年版