こんにちは、柴犬🐶ふくまるです!
どの企業に存在する人事の役割について図解で解説していきます。
この記事はこんな方におすすめです!
- 現在人事の方
- 人事の仕事に興味がある方
- 人事に異動した方
サマリー
- 人事は事業戦略に必要な人材と働きやすい環境を用意する役割
- 環境の変化により、これから求められる人と今いる人との間にギャップが生まれやすい世の中
- そのギャップを埋めるためにウルリッチの4つの人事の役割が参考になる
- デジタル化の波は人事領域でも進んでおり、道具として使いこなせる人事が求められる
人事の役割
企業は営利目的の組織ではありますが、世の中にある何かしらの問題を事業を通じて解決すること、つまり社会貢献を前提にしています。
事業で社会貢献をするために、ヒト・モノ・カネ・情報のリソースの中で「人」をマネジメントするのが人事です。企業がどのように社会貢献したいか?(いわゆる中期経営計画や事業戦略)によって、必要となる「人」とその人が働きやすい「環境」が異なってきます。
経営戦略や事業戦略を達成するために
- どのような人(あるいは役割)が必要なのか?
- どのように評価するのか?
- どれくらいの報酬を払うのか?
を決めて
- どのように採用するのか?
- どのように教育をするのか?
- どのように配置するのか?
- どのように働きやすい環境を整えるのか?
- どのように必要じゃない人を代謝させるか?
の人事施策を5W2Hでデザインするのが人事の役割です。
人事の仕事
人を確保する仕事
事業計画の達成に必要な人員維持に関する業務であり全社的な人員計画の作成に始まって、採用・配置・異動・出向・転籍・退職などの計画と推進に関わる一連の業務のことです。
労働市場や事業環境の変化によって人の確保や活用の在り方は大きく変化しています。事業の要求に応えて、人を確保することは人事の主要な業務となっています。
人材を開発する仕事
事業が継続的に発展していくためには、常に事業環境の変化に対応していくことが必要です。事業変化に合わせて、個々の従業員が携わっている仕事も変化していくため、従業員の能力や意識、行動、価値基準の変化を求めることになります。
従業員視点では、携わってきた仕事を通じて能力を開発し、開発された能力に応じてステップアップした仕事に就くことができ、さらに能力が開発される循環にあることが望ましいのです。
こうした事業と従業員個人双方の必要性から、「能力開発」は人事の大きな役割であると言えます。
人の活用にかかわる仕事
人を活用するためには、能力と成果に応じて適正に処遇することが必要です。処遇に不公平感があったり、従業員の納得が得られないものだとすると、従業員のやる気が低下したり、企業に対する不信感を招くことになります。
そのため、「公平性」と「合理性」を持った人事諸制度を設計すると同時に、制度の主旨に沿った透明性が高い適正な運用を行うことによって、従業員の納得を得なければいけません。
人事諸制度には、従業員を何らかの基準で序列付けして基本的な処遇条件を決定するための格付制度があり、これに対応して管理職制度、専門職制度といった制度があり、これらの制度運用の基礎となる人事評価制度などがあります。
従業員を能力と適正に応じて活用し、一定の基準に基づいて適正な評価と処遇を行うことは、基本的で重要な機能となっています。
労使関係を良好に維持する仕事
企業と従業員の関係には、労働契約を基本とした企業と従業員個人との関係(個別的労働関係)と個々の従業員を組織化して労働条件の維持・向上を図ることを主たる目的として設立された労働組合と企業との関係(集団的労使関係)があります。
集団的労使関係の安定は、経営活動の円滑な運営に大きな影響を持つ。それゆえに、労使関係を良好な関係として「築き上げる」ことは人事の大切な役割であり、また良好な関係を「常に維持していくこと」も重要な活動です。
従業員の就業にかかわる仕事
労働契約を締結することによって、使用者(企業)と従業員との間に継続的な雇用関係が生じます。こうした関係から生じるさまざまな問題に対応するために労働関係法令が存在します。
社会保険関係法令や所得税法などは、実務を行う際の知識や、労働基準法・労働安全衛生法などには、日常的に順守すべき事項や労働基準監督署長あての届出や報告事項を定めたものが多いです。
労働関係法令全般についての基本的な知識を習得することは、人事担当者にとって不可欠な要件となっています。
従業員の安全衛生にかかわる仕事
労働災害は長期的には減少傾向にありますが、今なお年間54万人もの労働者が被災し、死亡災害が千人台で推移しています。こうした背景には、昨今の厳しい経済環境の下で、収益に結びつく業務を優先する反面、安全への意識が相対的に低下し、その結果として企業の安全管理活動が停滞していることが起因しています。
災害のない安全な環境をつくり上げていくには、事業者が労働者の安全確保は自らの責務であると認識する必要があります。事業者がその責任を果たすためには、労働安全衛生法で定める安全衛生管理体制を確立し、責任体制を明確化すること、安全衛生の最低基準を順守して作業環境の快適化を推進することが求められます。
社会保険にかかわる仕事
社会保険とは、保険技術を活用して、保険給付の対象者の疾病、負傷、分娩、失業、障害、死亡、介護などの事故が生じた場合に一定の給付を行い、その所得または医療などを保証する制度です。
社会保険には種類があり、例えば健康保険や厚生年金、労災や雇用保険と、それぞれ目的が異なります。加入管理、手続きや従業員からの問い合わせ対応が日常業務として発生します。
福利厚生を維持、管理する仕事
福利厚生の意義は、従業員の生活の安定と生活福祉の向上です。
生活の安定は、従業員の募集と定着性の向上に寄与するとともに、従業員の労働意欲を高める作用をもたらします。生活福祉の向上は従業員の向上意欲と結びつき、労働力の質が向上するとともに労使関係の安定のために重要な影響を与えています。
福利厚生には、公的な社会保障システムの一翼を担う法廷福利厚生と、従業員の生活保障、人材の確保。労使関係の安定を図るために企業が独自にその裁量で行う法廷外福利厚生があります。福利厚生の給付等の制度を立案し、運用する福利厚生管理が必要となります。
大南 幸弘 (著), 稲山 耕司 (著), 石原 正雄 (著), 大南弘巳 (著):人事部 (図解でわかる部門の仕事)を参考
これからの人事
今までの人事は、どちらかと言えば労務管理のサポートが主な業務でした。
しかし、これからは定型的で誰がやってもあまり変わらない仕事であれば、コストの低いアウトソーシングに出す、あるいは人ではなくシステムにやらせるなど、人事領域に限らない動きです。
人事が変わっていく背景には、企業自体の変化があります。
現在、日本の人口は減少傾向で、国内市場全体が縮小しています。一方、情報通信技術の発展、IoTやAIの技術進歩などを背景に、企業を取り巻く環境の変化が加速しています。そのため、グローバル化やM&Aによる事業統合や新しい事業領域への進出など、スピーディーな事業戦略が求められるようになってきています。
これからは「目的」を成せる人事が求められます。「人事の役割」を定義したフレームの代表的なものの一つが、『MBAの人材戦略』で著名なミシガン大学のデイビッド・ウルリッチ教授が提唱した4つの分類が有名です。
- 戦略パートナー(Strategic Partner)
- 管理のエキスパート(Administrative Expert)
- 従業員チャンピオン(Employee Champion)
- 変革のエージェント(Change Agent)
戦略パートナー
ビジネス上の戦略に必要な人材の定義と現状の問題・課題を踏まえて、人事施策を立案し、ビジネス上の戦略実現に寄与する役割。
管理のエキスパート
採用や教育、評価、褒賞等の従来の人事の役割の中で、業務プロセスをより効率的に再設計・運用する役割。
従業員のチャンピオン
常に従業員の声に耳を傾け、刻々と変わる問題の発見と対応をする役割。時にライン管理職をサポートし、時に提言を行う。
変革のエージェント
組織再編やリストラクチャリング等の変革のプロジェクトをマネジメントする役割。
デジタル人事
その他、デジタルトランスフォーメーション(DX)と呼ばれるデジタル化が人事領域でも進んでいます。業務の効率化に活用するHRテック、従業員の人事データや行動データを人事施策に活用するピープルアナリティクス領域の知見やスキルを持った人事も今後求められます。
まとめ
- 人事は事業戦略に必要な人材と働きやすい環境を用意する役割
- 環境の変化により、これから求められる人と今いる人との間にギャップが生まれやすい世の中
- そのギャップを埋めるためにウルリッチの4つの人事の役割が参考になる
- デジタル化の波は人事領域でも進んでおり、道具として使いこなせる人事が求められる